アイランズ

アイランズ（Islands）は、スコットランドのスコッチウイスキー生産における地域の一つで、ハイランドに含まれるものの、地理的・風味的に独自の特徴を持つ島々（アイラ島を除く）の集合を指します。主にオークニー諸島、スカイ島、ジュラ島、アラン島、ルイス島など、スコットランド西部および北部に点在する島々が含まれます。 アイランズのウイスキーは、海に囲まれた島々の環境から影響を受け、潮風や塩気、軽いスモーキーさ、フルーティーさやスパイシーさが特徴です。アイラ島の強烈なピート香とは異なり、アイランズのウイスキーはピートの使用が控えめまたは全くなく、島ごとの風土や蒸溜所の個性が強く反映されます。風味は多様で、塩キャラメル、シトラス、ヘザー、モルトの甘さ、時にはピートによる軽いスモーキーさが感じられることがあります。この多様性が、アイランズをスコッチウイスキーの魅力的なカテゴリーにしています。

 代表的な蒸溜所には、オークニー諸島のハイランドパーク（Highland Park）とスキャパ（Scapa）、スカイ島のタリスカー（Talisker）、ジュラ島のジュラ（Isle of Jura）、アラン島のアラン（Arran）などがあります。ハイランドパークは、ヘザーのフローラルな香りと軽いスモーキーさで知られ、タリスカーは胡椒のようなスパイシーさと潮の風味が特徴。ジュラはフルーティーで軽やかなスタイル、アランはバランスの取れたモルト感が人気です。各島の気候や水源が、ウイスキーの個性を形作っています。

 歴史的には、アイランズの島々は孤立した環境から密造酒の伝統が根強く、19世紀以降に商業的な蒸溜所が発展しました。海運の利便性や地元のピート資源を活かし、各島が独自のウイスキー文化を築いてきました。観光面では、アイランズは壮大な自然景観や歴史的な遺跡（例：オークニーのストーンサークル）とウイスキー体験が融合し、蒸溜所ツアーやテイスティングが人気です。特にタリスカーやハイランドパークのビジターセンターは、ウイスキー愛好家に愛されています。

 アイランズのウイスキーは、島々の風土と海の影響を受けた多様な風味で、スコッチウイスキーの幅広さを象徴しています。穏やかな味わいからスパイシーな個性までを楽しみたい人にとって、アイランズは発見に満ちた魅力的な地域です。